DIRECTOR

PROFILE

アレクサンダー・ナナウ

アレクサンダー・ナナウ
Alexander Nanau

1979年ルーマニア生まれのドイツ人。ベルリン映画テレビアカデミー(DFFB)で演出を学ぶ。長編ドキュメンタリー第1作『Peter Zadek inszeniert Peer Gynt』(06)を、2006年にドイツとオーストラリアで劇場公開。2010年、ドキュメンタリー作品『The World According to Ion B.』(10)で国際エミー賞を芸術番組部門で受賞。この作品は全世界で50以上の映画祭で上映された。

MESSAGE

私たちを私たちたらしめているものは何か、そして子ども時代に模範となる大人をどう選ぶかという問いが、この映画の核心を占めています。社会から取り残されたロマ・コミュニティのなかでトトたちに出会い、彼らの物語を撮影しようと決めました。母親がおらず、貧困や暴力、ドラッグがはびこる環境で育ちつつ、その苦境をこえて人生の豊かさを見る強さをそなえた子どもたちの物語を。
スラムの悲惨さを強調したりはしていません。なぜなら観客の皆さんには、暴力やドラッグは、まさにトトたちがその目で、その身体で感じたままに、生活の一部としてそれがあるというように観てもらいたいからです。この映画は、子どもたちを「小さく弱い」存在として、大人の立場から見下ろすものではありません。彼らと同じ目線の高さで、対等な立場から見ることで、語り手としての私が不可視となり、観る人が映画の中の人物と直接触れ合うことができるのです。
物語が親密さを維持するのに重要な要素となっているのは、アンドレアが自分で撮影した生活の記録です。この作品は彼らについての映画というだけでなく、彼らとともにつくった映画なのです。

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